COROSアメリカCEO兼共同創業者へのインタビュー:製品テストと企業文化の原動力
COROSでは、アスリートに焦点を当てた製品を真に創り出す唯一の方法は、自らでアスリートの体験を行うことだと常に信じてきました。ウルトラマラソンから山頂への登頂、5kmレースからサイクリングの冒険まで、あらゆる新機能や製品デザインは1つの問いから始まり、その問いで完結します。それは「アスリートの環境下での体験を向上させられるのか?」という問いです。
計画や試作品は社内のラボで設計され、シミュレーションを経て検証されるが、真のフィードバックが得られるのは大自然の中です。製品テスターやプロアスリート、そしてCOROS社員に支えられ、製品を自らで体験する文化がトップダウンで浸透しています。
トレーニング、クライミング、サイクリングの社内文化

サイクリングをするCOROSアメリカCEO兼共同創業者ルイス

ヨセミテ国立公園でクライミングするルイス
ルイスが製品テストについて語る時、それはチェックリストを指すものではない。彼のカレンダーを埋めるトレイルランニングや登山、サイクリングのことを指しています。
「私のスポーツはいつも、クライミングやサイクリング、ランニングの組み合わせで、たまにパドリングなど他のスポーツもしますが、その3つが私の基本です」
この多様性は見せかけではありません。あらゆる環境で活躍するアスリートが使用する製品を開発する会社として、自然に生まれた成果なのです。ルイスは、他人との競争ではなく、自分自身との競争にこそ原動力を感じると語っています。
「子供の頃、クラスの中では身体能力では勝てなかったので、幼い頃から昨日の自分と競うことを学びました。その考え方は今も私を駆り立てています。『どれだけ上達できるか?』と常に問い続けているのです」
製品開発がアスリートにもたらすもの
製品テスト期間中のルイスのフィットネス推移
面白いことに、ルイスは自身のスポーツへの関心がCOROSに影響を与えているとは考えておらず、むしろ逆だと語ります。
「COROSが私の行動に影響を与えているのです…COROS DURAをリリースする前、より多くの時間をサイクリングに費やしていました。トレーニングソフトウェアをリリースする前には、ユーザーの視点でその感覚を理解するためにマラソンを走りました。新しいクライミング機能が追加される時は、再び岩壁を登ります」
各プロジェクトが彼のトレーニングの焦点を変え、ユーザーが直面する現実のシナリオに没頭させるのです。
「私たちは幅広いアクティブなコミュニティ向けの製品を作っています。各スポーツには、製品がユーザー体験をどう向上させるかを理解するための徹底的な調査が必要です。ベータ版が完成したら、ユーザーと全く同じ方法で自ら体験したいのです」
汗水垂らして検証した製品デザイン
COROSは高度なモデリングと社内のラボでの検証を採用していますが、ルイスは実環境下でのテストこそが優れた製品と卓越した製品を分ける要素であると明言しています。
「コンピューター上で設計したものは、実際の競技では全く異なる反応を示すことがあります。湿度や標高、温度など、これら全ての要素が製品の動作や数値に影響を与えます。真実を見出すのは現実世界なのです」
COROSのハードウェアとソフトウェアのリリースはすべて、テストチームだけでなくCOROSの全従業員による厳格な実環境下での検証を経ています。「私たちが最大のユーザーです」とルイスは語り、「このプロセスに終わりはありません」と自信を持っています。
Gnngga 100kmレース: COROS APEX 4の腕試し
Gongga 100kmでのトレイルレースを走るルイス
2025年、ルイスは中国で開催されたGongga 100kmのトレイルレース完走を目指しました。このトレイルレースは、彼自身と新しいCOROS APEX 4の両方に対して"試す"目的がありました。
「個人的な挑戦がしたかったんです。2020年にNose in a Day(ヨセミテ国立公園でのクライミング挑戦)を達成しましたが、それ以来同レベルの成果はありませんでした。今回は自身の限界を押し上げ、同時に製品の性能も極限まで試すことに決めました」
サイクリングとビッグウォールクライミングからトレイルランニングへと焦点を移したルイスは、ランニングの量を増やしていきました。このレースは個人的な挑戦かつプロフェッショナルな実験となりました。ルイスはCOROS APEX 4とCOROS NOMADの2つのウォッチを着用し、両製品を異なる設定にして機能とナビゲーションをテストしました。
「テストの時には予備のウォッチを持ち歩くことが多くて、時には3つも。今回のレースでは2つが最適でした。1つはデータの記録、もう1つはボイスピンとナビゲーションを担当。両方を用いることで、それぞれの体験をどう改善できるかリアルタイムで把握できました」
キリアン・ジョルネから市民ランナーまで

ステイツ・オブ・エレベーション: ルイスとキリアン・ジョルネ

ルイスとキリアンの2人は貴重な時間を共にした
ルイスのテストは自身の経験に留まらず、世界最高峰の選手たちの声にも耳を傾けます。最近ではキリアン・ジョルネの「ステイツ・オブ・エレベーション」のプロジェクトに同行し、ユーザー体験に関する新たな視点を得たのです。
「キリアンはアクティビティ中にナビゲーションルートを変更する方法を知りませんでした。その時に、エリートアスリートでさえCOROSウォッチの全ての機能を使いこなしているとは限らないと気づかされました。新機能の開発を続ける一方で、それらの発見と使用方法を簡単にすることに注力することが重要だと思いました」
では、ここで重要なポイントは何でしょうか?使いやすさと使い方は、開発そのものと同じくらい重要だということです。
「製品を購入した人がその可能性を最大限に活かせないのは残念なことです。我々はシステムをより直感的にして、アスリートが最大限に活用できるようになることに関して注力しています」
アスリートによるアスリートのために築かれた会社
今では、COROSは複数の製品と様々なスポーツ分野を擁するグローバル企業へと成長しました。製品が増えるにつれ、各分野の専門家を招いてデザインや機能性、そして最終的にはユーザー体験をテストして検証しています。それに伴って複雑さも増しています。フィードバックは依然として進歩の原動力ですが、その過程は成熟しています。
「創業期には修正を一晩で完了できましたが、今では優先順位をつけないといけません。各アップデートは影響を受ける顧客数で評価されます。しかし私たちの使命は変わりません。現実世界で機能する製品を創ることです」
この使命は単なる性能指標をはるかに超えています。
「私たちの究極の目標は常に、トレーニング・安全・冒険を通じて、ユーザーがスポーツにおける興奮を楽しみながら成長する手助けをすることです。スポーツは人生で最も刺激的な体験の1つであって、私たちの役割はその体験をさらに素晴らしいものにすることなんです」
目的を持って構築
機能の細部にもこだわる:COROSでは、ナビゲーションアラートからクライミングモードに至るまで、あらゆる細部に意図が込められています。
「私たちはテクノロジー企業であると同時にスポーツ企業でもあります。提供するものはすべて、大きな目的を持っています。アスリートが実際の環境下で使いこなせるように、設計とテストを重ねています」
この理念は、持久系アスリートの胸の鼓動のように、COROSの会社全体に脈打っており、着実で集中力があり、長期的な視点で構築されています。たとえ現在の状況では関連性を感じない機能であっても、その背後にある焦点は、最も必要な時に確実に機能するよう慎重にテストされているのです。

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