アンドレアス・アルムグレン選手(以下、アンドレアス)は、欧州でも屈指の長距離ランナーの1人としての地位を確立しました。数々の国内記録や欧州記録を塗り替え、世界大会でもメダルを獲得してきた彼は、トラックとロードの両方で「何が可能か」という限界を再定義し続けています。

あらゆる記録や力強いフィニッシュの裏にあるのは、アンドレアスによるデータ主導のトレーニングアプローチです。すべては、緻密にコントロールされた「閾値トレーニング」と、各ワークアウトの背後にある数値への深い理解に基づいて構築されています。

アンドレアスのトレーニングを深く掘り下げ、その体系化された構造と継続性が、いかにして彼を世界のトップレベルで戦う準備へと導いているのか、その秘訣を探ってみましょう。


アンドレアス・アルムグレンのトレーニングを支える構造

アンドレアスは、体系化された「期分け」の原則に従い、主要なレースに向けて一貫したトレーニング期間を設けることで、自身のフィットネス(状態)を確認しています。常に高強度のセッションに頼るのではなく、コントロールされた質の高いワークアウトを毎週着実に積み重ねることで、着実に走力を高めています。

私は、例えば6週間ほど一定の構造を維持し、必要に応じて調整を加えます。具体例を挙げると、10月のバレンシア・ハーフマラソン(58分41秒の欧州新で4位)の後、11月中旬に本格的なトレーニングを再開しましたが、その際にまずは6週間のトレーニング期間を設け、その後に2週間のレース準備期間を設けました。トレーニングが過度に固定的であるべきとは思いませんが、一度その期間の計画を決めたら、その期間内は一貫性を持って取り組むべきです。

毎週同じようなワークアウトを継続し反復することで、トレーニング刺激への適応を最大限に引き出すことができます。また、トレーニング期間を通じて週間負荷を一定に保つことができるため、健康な状態(怪我のない状態)を維持することにも繋がっています。

ポイントシーズンを通してトレーニングのフォーカスポイントを微妙に変えていくことを「期分け」と呼びます。この手法を自身のトレーニングにどのように取り入れるか、より詳しく知りたい方は、COROSのトレーニングの期分けブログをご覧ください。


閾値走

閾値走は、アンドレアスのトレーニングの中核を成しています。最も重要なのは、狙った強度を正確に維持すること。そのために心拍数は、適切な負荷を管理するうえで欠かせない役割を果たしています。

僕が普段チェックしているのは、スピード、乳酸値、心拍数、そして全体的な感覚の4つです。自分が理想とする"キツさ"の基準を持っています。ただ「閾値走すれば速くなる」というほど単純ではなく、そこにはもっと多くの要素があります。

アンドレアスは閾値走のセッションで、心拍数をおよそ167〜178bpmの範囲に保ちながら、最速で2:40/kmというペースを維持します。

閾値走は長く続けてきたので、各ワークアウトでどんな感覚になるのが理想か、そして長期的に自分に合う乳酸値も分かっています。だからこそ、COROSの心拍データは、全体を把握するうえでとても重要なんです。

全てのトレーニングにおける心拍数とスピードの詳細な記録をもとに、アンドレアスはCOROSデバイスを活用して、週ごとやトレーニングブロックごとにデータを比較・分析しています。



アンドレアス・アルムグレンのカギとなるワークアウト内容

「3km × 3本:能力強化のワークアウト」

強固なベースを築いた後、アンドレアスはレース本番に向けて、いくつかの重要なワークアウトを通して仕上がりを確認します。バレンシア10kmを前に、彼はコンディションを高め、自信を深めるために2つのカギとなるワークアウトを実施しました。

週間170kmを走り込んだ週の終盤、アンドレアスは3 × 3km(リカバリー3分)のハードなセッションを実施し、それぞれ8:00、7:52、7:43 で走り切って自身のコンディションが理想的な状態にあることを確信しました。

「1000m × 10本:レース前のワークアウト」

10kmレース前の最終チェックの1つとして行われるこのワークアウトは、短いリカバリーの中で疲労がある状態でもレースペースを維持できるかを確認するためのものです。

数値が揃い、かつ動きに余裕があれば、それは「レースに向けて準備万端」である明確なサインとなります。

ワークアウトタイプレースペース・インターバル

メニュー:1km × 10本(リカバリー1分)

平均ペース:2分34秒

平均心拍数:162bpm



バレンシア10kmに向けての積み重ね

アンドレアスはバレンシアで多くの成功を収めてきました。今年1月には10kmで26分45秒の欧州新記録を樹立して優勝。さらに2025年10月にはハーフマラソンで58分41秒で、こちらも欧州記録を更新しています。さらに、今年も彼はバレンシアに向かい、これまでのパフォーマンスをさらに向上させることを目指しています。

ここで良いレースができたことは、夏に向けて非常に有利な立場に立つことができました。今年は昨年と比べていくつか変更を加えているので、欧州新記録をさらに縮められる可能性があるのは非常に楽しみです。

他のランナーと同様に、アンドレアスもレースごとに成長していきたいと考えています。産業工学と経営学の学士号を持つ彼にとって、質の高いなデータを活用して自分の進歩を把握することは非常に重要です。

私は主要大会での優勝候補の1人となることで、他の選手たちに追いかけられる存在になりたいと思っています。2018年以降に行ったすべてのワークアウトを保存しており、これまでに行った同じ練習内容を全て比較することができます。今年からはより体系的に管理を始め、今ではあらゆる種類のインターバルトレーニングも記録しています。

世界のトップアスリートたちが頂点に立ち続けている理由は、常に競技の学び手であり続けているからです。彼らはトレーニング内容を分析し、データから学び、常に必要な調整を行っています。アンドレアスと同じように、COROSのデータを活用することで、より賢くトレーニングし、目標に向かって着実に進歩することができます。



バレンシア10kmでの欧州新記録

バレンシアは、アンドレアスのトレーニングが常に高いパフォーマンスへと結びつく場所となっています。そして今年、その成果はさらに前進し、26分45秒を記録して自身の10kmにおける欧州記録を更新しました。

ここで良いレースができることは、夏に向けて非常に良い立場に立てることを意味します。今年は昨年と比べていくつか変更を加えているので、欧州新記録をさらに縮められたことはとても刺激的です。

彼のデータは、「コントロールされたレース運び」を如実に物語っています。最初の8kmのラップはすべて4秒以内(2分43秒〜2分39秒)の誤差に留め、ピッチは終始186で安定し、心拍数も170bpm台半ばで推移していました。

ラスト2kmでペースを上げる局面に入った時、彼の身体はすでにその動きに備えていました。フィニッシュに向けて強度を高める中で、ペース、ピッチ、心拍数はいずれも上昇しています。疲労下でも冷静さを保つ能力は、レース当日に突然身につくものではありません。高い走行距離を積む数週間のトレーニング、繰り返される閾値走、そして過去のワークアウトとの詳細な比較によって、アンドレアスは自分の限界を正確に把握したうえでスタートラインに立つことができました。

世界のトップアスリートたちが頂点に立ち続けているのは、競技の学び手であり続けているからです。彼らは自らのトレーニングを分析し、データから学び、常に必要な調整を行っています。アンドレアスと同じように、COROSのデータを活用することで、より賢くトレーニングし、目標に向かって確かな進歩を遂げることができます。

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