10,000人ものCOROSユーザーのデータにより、冬季のトレーニングが春のベースフィットネスにどのような影響を与えるかが明らかになりました。
温暖な地域を除けば、冬のトレーニングは大変です。日中は寒くて暗く、雪や氷の影響等で、どんなに良いトレーニング計画を立てても遂行するのは簡単ではありません。一貫してトレーニングを続けるのが最も難しい季節ですが、それをやり遂げれば春にはさらに強くなっているでしょう。
私たちはユーザーのデータに着目しました。北米の1万人以上のCOROSユーザーの冬季トレーニングを分析することで、12月、1月、2月にフィットネスを維持または向上させるためには何が効果的かを理解しようと試みました。調査内容は以下のとおりです。
- 12月から2月までの総トレーニング日数
- 屋内と屋外のランニング頻度
- 冬期におけるベースフィットネスの変化
- それらの変化が春のフィットネスにどのように影響を与えたか
なぜベースフィットネスに注目するのか?
ベースフィットネスは、COROSのデータ指標の1つであり、身体がどれだけのトレーニング負荷に現在、適応しているかを反映します。一貫したトレーニングによって上昇し、トレーニングが減少すると低下します。単に走行距離やペースを追跡するだけでなく、ベースフィットネスは全体的なトレーニングの準備状況をより幅広く参考にすることができます。
冬季のベースフィットネス変化に基づき、ユーザーを3つのグループに分類しました。
- フィットネス低下(10%以上の減少)
- フィットネス維持(±10%以内)
- フィットネス向上(10%以上の増加)
グループの規模はそれぞれ同じボリューム感で、34%の人がベースフィットネス向上、36%の人がベースフィットネス維持、30%の人がベースフィットネス低下の割合でした。各グループの詳細を調べた結果、年間で最も厳しい時期のトレーニングにおいて、何が有効で(何が無効で)あるかが明確になりました。ここでは、ベースフィットネスを向上させた人と、低下させた人のそれぞれの要因を以下で紹介します。
1. 一貫性が最も重要
冬季にベースフィットネスが向上した人は、低下した人よりも50%多くトレーニングを行っていました。この差は積み重なっていきます。週に1、2回のトレーニングをキャンセルしてしまうことは、その時には大したことではないように思えるかもしれませんが、その傾向を3ヶ月間続ければ、勢いを維持できることか、春のシーズンを不利な状態から始めるかの差になってきます。

実際にトレーニング日数が多いほど、ベースフィットネスが高くなります。パターンは明確で、休息日が少ないほど結果が良くなります。とはいえ、毎日走る必要はありません(実際、休息日はトレーニングの重要な部分です)。しかし、たとえ短時間でも、一貫してトレーニングを行うことで、トレーニング負荷が安定し、ベースフィットネスも向上していきます。
2. トレッドミルは十分に活用されていないが効果的
トレッドミルは、冬季のフィットネス維持において最も活用されていないツールの1つです。ベースフィットネスを向上させた人の中でも、ほぼ半分は冬季にトレッドミルを1回も使用していませんでした。
この傾向はすべてのグループに共通していました。
- 低下グループ: 55%が室内で1回も走っていない
- 維持グループ: 53%が室内で1回も走っていない
- 向上グループ: 47%が室内で1回も走っていない
ここではポイントは、冬季に少なくとも13回(平均して週に1回)トレッドミルで走った人は、トレッドミルをまったく使わなかった人よりも2倍以上の確率でベースフィットネスを維持または向上させました。

メリットはトレッドミル自体にあるわけではありません。実際のデータによると、冬季の13回以上のトレッドミルらんでは、追加のメリットが得られるわけではありませんでした。しかし、トレッドミルを活用するメリットとは、天候が悪い時などに、トレーニングをキャンセルしないということにあります。そして、トレッドミルの活用は、年間を通じて一貫性とトレーニング負荷を維持するのに役立ちました。
屋外でのトレーニングを躊躇するような状況では、トレッドミルを代替手段として使用することをオススメします。重要なのは、毎週どこかでトレッドミルで走るということではなく、トレーニングをキャンセルしそうな天候の悪い時などに、冬季で13日間はトレッドミルで走ってみましょう。とはいえ、連日悪天候が続く場合もあれば、数週間にわたって天候が恵まれる場合もあります。
トレッドミルは退屈というイメージがあるかもしれませんが、確かに効果はあります。室内でのトレーニングが苦手な方は「退屈なトレッドミル」を打破するためのヒントとコツを試してみてください。
3. 春の成功は12月から始まる
データから得られた最後の重要なポイントは、冬季のトレーニングが年間の残りの期間を左右するということです。冬季にベースフィットネスが低下した人は回復に苦労しましたが、ベースフィットネスを維持または向上させた人は、その勢いを春まで続けることができていました。
それでは、6月1日までの各グループのパフォーマンスを見てみましょう。

冬季にベースフィットネスが向上した人のうち、33%が春もパフォーマンス向上を継続しました。一方、冬季にベースフィットネスを維持した人の43%が春にもパフォーマンス向上が見られました。
これは、6ヶ月連続で成長を維持することがいかに難しいかを反映しているのかもしれません。また、冬季に安定したベースフィットネスを築くことが、トレーニングの出発点としていかに効果的であるかを示しています。
まとめ
冬季はボリュームの多いトレーニングを行う時期である必要はありませんが、一貫性を持って取り組むべき時期です。ベースフィットネス維持や向上が冬季の目標であれば、まずはトレーニングを途切れさせないことが重要です。トレッドミルを活用することで過剰な休養日を避け、ベースフィットネスの推移を常に観察することで、再構築に費やす春と、進歩に費やす春との違いになっていきます。
この冬、賢くトレーニングをしておけば、季節が変わった時に悔いなくトレーニングに打ち込むことができるでしょう。
冬季にベースフィットネスが低下した30.5%の人
休んだ日数は?
- 平均42/90日
- トレッドミル/室内ランを行ったか?
- 55%(1,168人)が室内ランを行なっていない
- 14%(285人)が室内ランを週1回以上行った
- 6月1日までにベースフィットネスは回復したか?
- 72%の人が6月1日時点で12月1日よりも悪化していた
- 春の終わりまでに停滞状態から抜け出し、改善できたのはわずか26%
冬季にベースフィットネスを維持(±10%)した35.5%の人
休んだ日数は?
- 平均34/90日
- トレッドミル/室内ランを行ったか?
- 53%(1,293人)が室内ランを行なっていない
- 16%(402人)が室内ランを週1回以上行った
- 6月1日までにベースフィットネスは回復、もしくは向上したか?
- 43%(1058/2,458人)は春に増加し、さらに6月1日の方が12月1日よりも状態が良かった
- 48%(1175/2,458人)は6月1日の方が12月1日よりも状態が良かった
冬季にベースフィットネスが向上した34%の人
休んだ日数は?
- 平均28/90日
- トレッドミル/室内ランを行ったか?
- 47%(1,097人)が室内ランを行なっていない
- 20%が室内ランを週1回以上行った
- 6月1日までにベースフィットネスは回復、もしくは向上したか?
- 33%(771/2,343人)は春も引き続き向上した
- 72%(1682/2,343人)は6月1日の方が12月1日よりも状態が良かった
- 26%(598/2,343人)は6月1日の方が12月1日よりも状態が悪かった
注目すべき点
休息日を増やすことは、ベースフィットネスの低下と関連していました。ベースフィットネスが向上した人は、低下した人よりもランニングの頻度が50%高くなっていました。
トレッドミルや室内ランニングはそこまで普及していませんが、屋外ランニングに加えて、平均して週に少なくとも1回でもトレッドミルや室内で運動している人は、体脂肪率が平均でわずか1.5%しか増加しませんでした。注目すべきは、週あたりのトレッドミルや室内ランの頻度の多さはそこまで重要ではなかったということです。つまり、優秀なランナーは、天気が悪くなった時の代替方法としてトレッドミルを使っています。
トレッドミルや室内ランニングをしていない人は、体脂肪率が平均7%増加していました。
週に1回トレッドミルで走った人の75%が、ベースフィットネスを維持または向上させました。トレッドミルで走らなかった人の35%が、ベースフィットネスを維持または向上させました。冬季に週に1回程度トレッドミルで走った人は、ベースフィットネスが向上する可能性が2倍以上高くなります。この「週1回」というのは平均的な数字であり、冬季以外の時期に13日以上トレッドミルで走っていたことを意味します。天気の悪い日の代替方法としてトレッドミルを活用しています。

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