ウォーミングアップは、どんなワークアウトにおいても最も重要なスタートポイントです。十分なウォーミングアップを行わずに運動を始めると、可動域が狭く、心血管系もまだ活性化していない状態で体を動かすことになります。このような状態ではパフォーマンスの低下やケガのリスクが高まります。以下では、適切なウォーミングアップの方法と、その効果を最大限に引き出すためのポイントを紹介します。


ウォーミングアップの目的とは?

 ウォーミングアップの目的は、身体を徐々に活動的な状態へと導き、パフォーマンスを支える各システムを活性化させることにあります。身体は休息状態からいきなり全力で動けるようにはできていません。必要なときに必要な機能だけを効率的に引き上げるよう設計されています。適切なウォーミングアップを行うことで、身体には次のような変化が起こります。

  • 心拍数の上昇
  • 血圧の上昇
  • 血管の拡張
  • 呼吸数の増加

 これらの変化が相互作用することで、運動中の筋肉により多くの酸素が供給されます。 同時に、筋肉の収縮時に熱が産生されることが「ウォーミングアップ」という言葉の由来です。筋温がわずかに上がることで(過度でない範囲で)柔軟性が向上します。温まった筋肉は、より効率的に伸縮を行い、ケガのリスクを軽減しながらスムーズにトレーニングへ入ることができます。


動的ウォームアップエクササイズ

 ワークアウト前には、動的ストレッチを行うことが推奨されます。これらは、関節を全可動域で動かしながら、セッション中に使用する筋肉を活性化させる動的なエクササイズです。具体例としてはウォーキングランジや臀部のストレッチ、脚のスイング、腿上げなどがあります。

 動的ストレッチは低強度で行われ、血流を促進して可動域を改善するとともに、神経系を次の高強度の動きに備えさせます。

 COROSでは、公式のワークアウトライブラリからダウンロードできる動的ウォームアップのサンプルを作成しています。



 一方、静的ストレッチ(筋肉を10〜60秒伸ばすストレッチ)は、逆の効果をもたらす可能性があります。筋肉をリラックスさせるため、力やパワーが一時的に低下することがあるのです。そのため、静的ストレッチはトレーニング後に行うのが効果的です。


ウォームアップの調整

 ウォーミングアップの重要な原則の1つは「特異性」です。セッションに近づくにつれて、ウォーミングアップは実際のワークアウトの動きや強度を反映するよう調整する必要があります。ほとんどのウォーミングアップは最初は共通の動きから始まり(例:動的ストレッチや軽いジョギング)、その後ウェイトトレーニングやトラック練習、ロングランなど、行う種目によって異なるアプローチが求められます。

 実践するには、まず体温と血流を促進する一般的な動きから始め、続いてこれから行うセッションに合わせた要素を取り入れます。例えば、

  • インターバルトレーニングを行う場合は、ウォーミングアップのジョグの終わりにペースを上げたり、目標ペースで短い流しを取り入れることがあります。
  • ジムでのトレーニングでは、ウォーミングアップの最後のセットは、最初のセットの動作や負荷に合わせて行うことが推奨されます。
  •  ロングランでは、ゆっくりとしたペースで走り始め、その後次第に目標のトレーニングペースに徐々に移行することで、ウォーミングアップから本練習へと継続する形にできます。

 この段階で、COROSのウォッチを活用してペースや心拍数をモニタリングし、過度な負荷をかけずに体を徐々に温めることが重要です。


クールダウンについて

 メインセッションが終了したら、次はその逆のプロセス、クールダウンを行います。 急に運動を止めると血液が脚で滞って、めまいや立ちくらみを引き起こすことがあります。適切なクールダウンを行わない場合、運動後の老廃物が筋肉に残ってリカバリーを十分に促せない可能性があります。なぜなら、心拍数が高い状態が長く続くと、筋肉もリラックスせずに休息状態に戻らないからです。

 適切なクールダウンを行うには、5〜10分間かけて強度を徐々に下げながら動き続けることが基本です。セッションの種類や強度によって、この時間は異なります。

  • トラックセッション後は、ゾーン2でのペースで走り始めて数分間で徐々にペースを落としていきます。
  • ロングランやジョグの時は、クールダウンとして数分間のウォーキングが最適でしょう。
  • ウエイトトレーニング後は軽いモビリティエクササイズや、ターゲットを絞った静的ストレッチが効果的です。



 どのアクティビティでも目標は同じで、体をリカバリーモードへ導いて血流をサポートし、リカバリーのプロセスを開始することです。

 心拍数が落ち着いたらCOROSの指標(リカバリーやトレーニング負荷)を確認し、リカバリーフェーズに入った後の次のステップを把握しましょう。

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