ディラン・スコットがフィニッシュラインを駆け抜け、ワールドチャンピオンの座をつかみました。その一瞬には、何年にもわたって積み重ねてきた努力が詰まっていました。

「自分のやってきたことが報われた気がしました。ここまで来るために、たくさんの犠牲を払い、リスクも取ってきました。すぐに得られる満足を何度も先送りにしてきたけれど、そのすべてに意味があったと思えた瞬間でした」

ここまでの道のりは決して平坦ではなく、怪我や停滞、そして自分を疑う時もあって思い通りにいかないことも多かったのです。それでもディランは、自分にコントロールできることに集中し、限られた時間をどう使うかを大切にしてきました。

「僕は昔から粘り強くて、簡単には諦めないタイプだと思っています。つまずくこともあるし、失敗することもあります。でも、それは挑戦の一部であって、諦める理由にはならないんです」


飽くなき向上心

ディランとダブルスのパートナーであるスティーブン・ペルコファーは、日頃からある問いを大切にしています。「自分はハングリーなのか。それとも、本当に飢えているのか。」ディランは、その違いについてこう語ります。

「成功に対してハングリーな人は、この世界にたくさんいます。でも、飢えているというのは、それよりもさらに深いものです。リスクを取り、痛みに向き合い、目標のためならすべてを注ぎ込めます。そこまでの覚悟があるかどうかだと思います」

ディランのアスリートとしての原点は、高校・大学時代の長距離走にあります。しかし、その後に負った大きな背中の怪我によって、一度は思うように競技を続けられなくなったのです。

それでも彼は、身体を立て直し、少しずつトレーニングを積み重ねていきます。そしてやがて、ハイブリッドフィットネスという新たなフィールドへとたどり着きます。

ランナーとして培ってきた持久力。現代のハイブリッドアスリートに求められる筋力。その両方を武器に、ディランは新しい競技への挑戦を始めました。

トレーニングの内容が変わるにつれて、パフォーマンスに対する考え方も変わっていきます。トップレベルで戦うためには、ただ努力するだけでは足りません。自分のベストを引き出すために、ディランはパフォーマンスデータと本格的に向き合うようになったのです。


COROSとの出会い

2025年の冬、ディランはすでに多くのウェアラブルデバイスを試していました。より正確な指標を得られるデバイスを探す中で、彼が初めて購入したのがCOROS PACE 4COROS心拍センサーでした。

「データは、正確であってこそ本当に意味があると思っています。リカバリー指標や睡眠データが、自分の体感と一致していたんです。つまり、これまで試してきたどのデバイスよりも、自分の感覚とデータが合っていました」

そして2026年4月、ディランはCOROSに連絡を取りました。それは単なるスポンサーシップのためではありません。自分の競技人生において信頼できる製品とともに、このスポーツをさらに前へ進めていきたいという思いからです。


ディラン・スコットのトレーニングとリカバリー

ワールドチャンピオンのディラン・スコットは、たくさんの練習量を積み重ねてきました。しかし、本当に重要だったのは、ただ追い込むことだけではないのです。

身体に負荷をかけながらも、リカバリーとトレーニング状態を継続的に把握することでした。

練習量と心拍ゾーン

2026年3月30日から6月18日までのディラン・スコットのトレーニング時間と強度を示す棒グラフ。

世界選手権までの12週間で、ディランは合計300時間のアクティビティを記録しました。そのうち81%はゾーン1〜2の低強度、19%はゾーン3〜6の中〜高強度でした。

各週の内容は、その時々のトレーニング目的に合わせて設計されていましたが、全体として見ると、ディランの強度配分は科学的にも知られている「80/20」の考え方に近いものでした。

走る男性アスリートと心拍数ゾーンのトレーニングデータグラフ

フィットネスレベルの向上

最も負荷の高かったトレーニング期間は、4月22日から5月24日まででした。この間、彼のベースフィットネスは217から最大255まで上昇し、それでもトレーニング状態は「良好」の範囲内に保たれていました。

そして最後の3週間は「維持」のゾーンに入り、レース当日には「再構築」の状態へ。ピークを合わせるまでの流れが、データ上にもはっきりと表れていました。

2026年3月〜6月のディラン・スコットのベースフィットネスと強度トレンドのグラフ

リカバリーと身体の適応

トレーニングによって身体にストレスを加える一方で、リカバリーと適応を確認する上で特に重要だったのが、HRV(心拍変動)と安静時心拍数でした。

疲労が過度に蓄積すると、身体はより強く適応することもあれば、逆に不安定な状態に傾くこともあります。ディランのトレーニング期間中、HRVはベースライン内に収まり続け、安静時心拍数にも大きな変動は見られなかったのです。

つまり、彼の身体はトレーニングにしっかりと適応し、より強くなっていたということです。そのデータは、さらに前へ進むための確かな自信にも繋がっていました。

膝に手をつくディラン・スコットと、COROSの回復データグラフ。


チャンピオンシップの瞬間

トレーニングを終え、心も整えたディランは、栄光をかけてスタートラインに立ちました。レース序盤、彼はあえて集団の後方に位置しました。それは、トレーニングデータに基づいた冷静なレースプランでした。

「自分のレースプランで1番大きかったのは、序盤の心拍をしっかり確認することでした。スレッドに入る前に飛ばしすぎるというミスを防いでくれるんです」

心拍数データグラフのオーバーレイとともに走るディラン・スコット。

多くの選手が序盤から心拍を一気に上げ、そのまま粘ろうとする中で、ディランは段階的に強度を上げていくアプローチを取りました。

「ターニングポイントはバーピーでした。そこで自分がもう一度、勝負に戻れた感覚がありました」

バーピーでは心拍を170台まで高め、その勢いのまま、自身の有酸素ベースを活かしてローイングから1000mランへとつなげました。その時の心拍は183bpmで、今大会における彼の最大心拍でした。

最後の種目であるウォールボールに入った時点でも、ディランはまだ勝利を確信していませんでした。

「97回目のウォールボールで、自分がトップに立ったとアナウンスされるまで、勝てるとは思っていませんでした。100回に到達して、ティムより一歩前に出た瞬間、“これは勝てる”と思いました」

そしてすべてが終わった時、ディラン・スコットはワールドチャンピオンとなりました。

53分を超えるレースは、努力、粘り、そして興奮に満ちた時間でした。しかし、その瞬間を可能にしたのは、そこに至るまでの300時間を超える準備でした。計画的なトレーニングと集中したアプローチによって、ディランは世界最高峰のステージで、自分の可能性を最大限に引き出しました。


ともに未来をつくる

ストックホルムの会場で勝利を喜びポーズをとるディラン・スコット。

ディランとCOROSは、ここで終わりではないと考えています。製品の正確性は証明され、チャンピオンシップという結果も手にしました。それでも、世界中のアスリートの体験をより良くするために、まだできることは多くあります。

「この競技に特化した指標を与えてくれるウェアラブルが必要だと思っています。レースそのものをより深く捉え、それに向けたトレーニングに活かせるものを、COROSと一緒に作っていきたいです」

ディランはすでに、自分なりのアプローチを見つけています。そしてCOROSは、彼からのフィードバックを集め、リサーチを重ね、より直感的で実用的なソリューションをともに作っていくことを目指しています。

私たちは、ディランのこの瞬間を心から祝福しています。そして同時に、このパートナーシップを、限界に挑み続ける世界中のハイブリッドアスリートにとって価値あるリソースへと育てていきたいと考えています。

これからもCOROSは、競技をより深く理解し、アスリート1人1人の前進に繋がる指標を届けていきます。


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