2026年のロンドンマラソンは、マラソン競技の歴史が塗り替えられた日として記憶されることでしょう。ケニアのセバスチャン・サウェが1時間59分30秒でフィニッシュし、マラソンの公認レースとして史上初のサブ2(2時間切り)を達成しました。

彼の後ろでは、ヨミフ・ケジェルチャ(1時間59分41秒)とジェイコブ・キプリモ(2時間00分28秒)も、これまでの世界記録を上回るタイムで駆け抜けました。また女子の部では、エチオピアのティギスト・アセファが2時間15分41秒をマークし、女子単独レースの世界新記録を樹立しています。この歴史的な瞬間を、数千人ものCOROSユーザーが共に走り抜けました。彼らのデータが語る、その物語を紐解きます。

私たちは、数ヶ月にわたるトレーニングやレース当週のルーティン、レース後のリカバリー、そしてもちろんマラソン本番の記録まで、彼らの膨大なデータを分析しました。ロンドンマラソンの記録の中には、数えきれないほど興味深い指標が隠されています。そのデータが何を物語っているのか、詳しく見ていきましょう。



COROSユーザーの圧倒的な速さ

ロンドンを走ったCOROSユーザーの平均タイムは3時間57分55秒。大会全体の平均タイムである4時間36分22秒を、なんと38分も上回る結果となりました。この「距離にして7kmほど」の圧倒的な差は、単なる「完走」を「素晴らしい体験」へと変える大きな違いです。しかし、これは物語の序章に過ぎません。

データに基づいたトレーニングの成果は、レース当日の結果に如実に表れます。もしウォッチを使わずに走っているとしたら、あなたが本来引き出せるはずの可能性を、自分でも気づかないうちに手放してしまっているかもしれません。



睡眠:レース前日だけでは語れない本当のデータ

マラソンランナーにレース前日のことを聞いてみてください。誰もが口を揃えて「ほとんど眠れなかった」と答えるはずです。そして、データもその事実を裏付けています。

目標タイムに関わらず、すべてのアスリートがレース前日の睡眠時間は普段の平均を下回っていました。レース前の緊張、早朝のアラーム、そして慣れないホテルのベッド……。これらは、ランナーなら誰もが直面する共通の悩みです。

しかし、データからより興味深いパターンが見えてきました。それは2日前の睡眠データです。どのタイムグループのアスリートも、レース2日前には普段より長く眠っていました。経験豊富なマラソンランナーは、前日に眠れないのは織り込み済みであることを知っています。もし事前に十分な休息が取れていれば、一夜の寝不足がパフォーマンスを大きく損なうことはありません。しかし、それが二晩続いてしまうと話は別です。

完走記録平均睡眠時間レース前日普段との比較レース2日前普段との比較
サブ2:307:387:07-31分8:13+35分
2:30-3:007:407:22-18分7:59+19分
3:00-3:307:407:13-27分8:04+24分
3:30-4:007:317:14-17分7:58+27分
4:00-5:007:337:25-8分7:54+21分
5:00以上7:227:15-7分7:40+18分

タイムの速いランナーと、そうでないランナーの間にある睡眠時間の差も見逃せません。完全に比例しているわけではありませんが、睡眠時間が長いほど、タイムが速くなるという傾向ははっきりと出ています。一晩の差はわずか10分程度かもしれません。しかし、それは1週間で1時間以上、1年で見れば60時間を超える大きな差になります。

アスリートにとって、睡眠はトレーニングそのものであり、1分1分が本当に大切です。体はトレーニング刺激に適応し、トレーニングと食事・睡眠のサイクルをこなすたびに、より強く作り替えられていくからです。睡眠時間をしっかり確保することは、これまで積み上げてきた努力を体に定着させる時間を増やすことでもあります。小さな習慣の積み重ねが、大きな結果に繋がるのです。



あらゆるレベルに合わせたトレーニングプラン

COROSでは、5時間の完走を目指す方からサブ3を狙う方まで、あらゆるレベルに合わせたトレーニングプランを提供しています。今回のロンドンマラソンに出場したCOROSユーザーのうち、このタイムの範囲に該当するランナーの42%が、本番に向けてCOROSのプランを活用していました。実に半数近くのランナーが、目標に合わせて作り込まれた体系的なプランでトレーニングを行っていたことになります。しかも、これらはすべて無料で利用可能です。

COROSのトレーニングスケジュールでは、豊富なメニューを公開しています。また、自分の目標やスケジュールに合わせたメニューが欲しい方は、COROSアプリのカスタマイズプランをご活用ください。



完走タイムを支える「フィットネス」の数値

予想通り、タイムが速いランナーほどVO2 Maxやベースフィットネスのスコアが高く、週間走行距離も多いという結果になりました。データは、こうした要素と結果の結びつきを、動かぬ事実として明確に示しています。

完走記録VO2maxベースフィットネス平均週間走行距離(調整期間を除く)
サブ2:3066119103km
2:30-3:006010777km
3:00-3:30559556km
3:30-4:00508340km
4:00-5:00467432km
5:00以上406223km

サブ2時間30分のランナーの中には、マラソン練習期間に週平均160km以上も走り込んでいた強者が数名いました。その一方で、事前のトレーニングをほとんど積まずにフィニッシュラインを越えたランナーも数人いました。これが賭けに負けて走ることになったのか、あるいは完走したことで賭けに勝ったのかは、捉え方次第といったところでしょう。



マラソンに最適なゾーン配分とは?

今回、最も興味深い発見は、タイムの速いアスリートが「実際にどのようにトレーニングしているか」という点でした。

確かに、速いランナーほど走行距離は長いのですが、その増えた分の距離のほとんどをゆったりとしたペースで走っています。上位完走者は、他のランナーに比べて、全トレーニング量に占める「ゾーン1」の割合がより高くなっていました。持久系スポーツの世界では、トレーニングの約80%を低強度、残りの20%を中高強度で行う80対20の法則がよく語られます。ロンドンでのサブ2時間30分のランナーたちのデータを見ると、マラソン練習期間の走行距離の83%がゾーン1と2に集中しており、まさにこの法則通りの配分でした。全体的な走行距離が長いため、絶対量で見ればすべてのゾーンで走行距離は増えていますが、注目すべきはその比率です。彼らは全走行距離に対して、マラソンペースで走る割合を増やすのではなく、むしろ減らしていたのです。

この比率は、完走記録が遅くなるにつれて変化します。4時間〜5時間台のグループでは、その割合は65対35に近づき、イージーランに対して中・高強度のトレーニングが占める割合が大幅に増えていました。きつい練習はやった感こそありますが、データを見る限り、それがむしろ逆効果になっている可能性を示唆しています。

ロンドンのデータが示す結論は明快です。トップレベルのアスリートは、本番に近いペースの練習を増やしてマラソンを攻略しているわけではありません。より分厚い有酸素土台を築き上げ、その上に鋭いスピードを付け加えているのです。



ほぼ全員が「正解」を選んでいた

レース週のデータには、一貫した傾向が見られました。全てのランナーが練習量を落とし、フィットネスを維持しながら、万全の状態でスタートラインに立っていたのです。

ほとんどのランナーは、ロンドンマラソン直前の1週間にトレーニング量を約40%減らしていました。走行距離の長いランナーほどその傾向は顕著で、中には50%近くまで落としたケースもありました。その結果、完走記録に関わらず、全ランナーの3分の2が、トレーニングス状態の指標において最も理想的なパフォーマンスゾーンの状態でレース当日を迎えていました。テーパリングの重要性はすでに常識となっており、ランナーたちは自分のデータを信じて、着実にコンディションを整えていたことがわかります。

ただし、トップレベルのランナーたちは完全に足を止めていたわけではありません。サブ3達成者は、レース週でもマラソンペースかそれ以上の速さで、5〜6kmほど走っていました。通常のトレーニング週に比べれば短い距離ですが、疲れを残さずに脚のキレを保つには十分な刺激です。



完走後:実際のリカバリー

レースはフィニッシュラインで終わりますが、そこからリカバリーが始まります。

COROSユーザーから得られたレース後のデータには、2つの明確な生理学的サインが現れていました。まず、安静時心拍数がレース後に一貫して10%上昇していたことです。これは全身の疲労と、体が修復を求めていることを示す信頼性の高い指標です。また、神経系の疲労度を示すHRV(心拍変動)にも、同様の疲労傾向が見られました。ロンドンマラソンの翌日、実に76%のユーザーが、HRVの数値を通常範囲よりも下回るまで低下させていました。

これらの数値は、42.195kmが身体にいかに大きなダメージを与えるかを、ありのままに物語っています。レース後の一週間こそが、トレーニングの成果を体に定着させ、実際に回復を行う期間です。そして、この期間に最も必要とされるのは焦らずに休む忍耐力なのです。



今年のロンドンマラソンを走ったCOROSユーザーは、歴史的なレースを共に走り、完走という目標を分かち合い、そして多くの興味深いデータパターンを示してくれました。これらの傾向はタイムの速いランナーほど顕著でしたが、全ての完走記録の層に共通して見られたものです。

マラソンは長い目で取り組むべき競技です。今回のロンドンから得られたデータは、まさにそのことを改めて証明する1つの根拠となりました。



本データは、2026年ロンドンマラソンに出場したCOROSユーザーの大規模なデータセットに基づいています。すべてのデータは匿名化され、統計的に分析されたものです。


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