山を攻略する心拍数の考え方とは

昨シーズンの城西大学のエースのひとり、斎藤将也は10000mで27分45秒12のタイムを持ち、駅伝ではどの区間でも対応できる力を備えていました。しかし1月の駅伝では2年連続で上り区間での起用が決まり、大学そばの標高100mから標高820mまで約23kmかけて上るコースなどで、実戦練習を繰り返しました。

「これは斎藤だけでなく、山上りの適性を見るために全選手が夏頃から取り組みます。なぜならば山の速さは実際に山を走ってみないと分からないからです。しかしトラックの走力に優れている斎藤がやはり山も速く、彼を起用することを意識し、その対策を10月から本格化しました」

山で行うトレーニングで櫛部監督が特に意識するのは最大心拍数の約80%を維持すること。斎藤はCOROSで常に自分の心拍数がどのゾーンにいるかを確認しながら、練習を行いました。

「実際のレースでの心拍数は最大心拍数の約85%から、状況によっては95%程度まで上昇しますので、この強度に近いトレーニングを意図的に取り入れています。このレベルの負荷を反復することで、レースに近い生理的強度に体を慣らし、実戦に即したレース感覚を養うことができます。結果としての上りの走力が向上していくのです」

斎藤将也の試合前20キロ(標高100mから755m)の上りトレーニングのデータ。カギは最大心拍数の約80%~90%の維持

最大心拍数の80%~90%という数字は山上りを攻略するためにひとつの指標になると櫛部監督は話します。そのため斎藤も駅伝シーズンは低酸素環境下でのインターバルトレーニングなどもこのゾーンでの心拍数をターゲットに行っていました。

「心拍数を管理し、計画的に実行することで再現性の精度が高くなり、試合で自分の能力を最大限に引き出すことができます。トラックレースはもちろんですが、10マイルからハーフマラソンにかけての距離で行われる駅伝でも生理学的な考えは共通していて、たとえ上りのコースでも変わりません。特に心拍数は個人差が出やすい指標なため、常にCOROSでチェックしながらのトレーニング継続は確かな成長につながると思っています。」

この春に城西大学を卒業しましたが、駅伝対策で養った持久力と脚筋力で、メインとする5000m、10000mでさらなる飛躍が期待されます。



起伏のあるエース区間でも心拍数はほぼ一定

ヴィクター・キムタイはエース区間で歴史的な区間新記録を樹立しました。2022年に城西大学に入学し、最初に出場した5000mでは13分38秒43とスピードのあるところを見せましたが、10000m初レースは29分16秒02とスタミナ面に課題がありました。その後はスピードを伸ばしながら、徐々に有酸素持久力の強化に努め、ハーフマラソンの距離にも対応できるまでに成長し、最後の駅伝大一番で結果を残したのです。

「大学4年目では5000mで13分11秒77まできたので、駅伝前は強度の高いトレーニングよりも持久力向上にフォーカスをあてたトレーニングを重視しました。ジョグで持久力の土台を作りつつ、16kmのクロスカントリー走、25kmのロード走を繰り返し行うメニューを組みました。こちらも心拍数を管理しながら楽に走れる感覚を身につけるようにしたのです」

キャンパス内のクロスカントリーでトレーニングに励むキムタイ

1月の駅伝では中盤以降にある大きな上り坂で耐え、その先の下りで回復させてペースを維持させたことが、史上最高の走りにつながりました。緩やかな下りや、わずかに速度を落としただけで回復できるのがキムタイの大きな強みなのです。

「レースでは、平坦なコースを走る際の1km2分50秒ペースを目指すように指示していました。実際はアップダウンがあるので、ずっと同じペースとはいきませんでしたが、心拍数はほぼ一定の数値で推移していました。キムタイの4年間のトレーニングの変化と、4年目の駅伝のデータは非常に貴重なものであり、今後、日本人選手の強化にも役立てられると考えています」

実際のレースでのキムタイのデータ。5km以降はペースが変化しても平均心拍数はほぼ一定

心拍数だけではなく、ペースやピッチなどの様々なデータが確認できる。GPSの精度も非常に高い

キムタイもこの春に城西大学を卒業しましたが、引き続き、日本で強化を続け、ケニア代表を目指します。



スピードをハーフに活かす、新たなノウハウ構築に成功

城西大学の基本方針はスピード強化であり、トラック種目を第一に考えます。そして世界的な活躍を目指し、最先端デバイスや低酸素ルームを活用して理論的裏付けがあるトレーニングを実施しています。2025年シーズンにCOROSとパートナーシップを結び、その城西大学らしさは駅伝という日本の伝統スポーツにも活用できることが、斎藤とキムタイの結果から見えてきました。2026年シーズンも早速、柴田侑が5000mで13分22秒46と好記録を残しています。スピードを鍛え、それを駅伝につなげるという流れは今季も城西大学で成功しそうです。



COROS(カロス)に関する最新情報はこちら🔻

公式サイト

Instagram

X(旧Twitter)

Facebook Group

Line

#COROS #カロス

LATEST NEWS