適切な練習量は、レースへの準備段階の練習効果を最大化させるために非常に重要です。「十分な練習量なのか」「練習量が多すぎないか」という問いは、アスリートが常に自問自答していることです。
COROSは、このような問いに対して、アスリートが正しい方向性に向かっているかどうか、という自信を与えるために「トレーニング状態」の指標を提供しています。
トレーニング状態について
トレーニング状態とは、直近のトレーニングがユーザーの身体に与えた影響を理解するのに最適です。3つの異なる指標で構成されており、それぞれが練習ごとのトレーニング負荷に関連しています。それぞれの指標の定義は以下です:
- ベースフィットネス: 直近42日間のトレーニング負荷の平均値で、長期的な指標だと捉えましょう。より高いトレーニング負荷でハードなセッションをこなす状態にあるかを示しています。
- 短期的負荷:直近7日間のトレーニング負荷の平均値で、短期的な指標だと捉えましょう。直近のトレーニング負荷によって身体にもたらされたインパクトの大きさを示しています。
- 負荷比率:これは短期的負荷とベースフィットネスとの関係式です。 要するに、負荷比率=短期的負荷/ベースフィットネスです。
補足
負荷比率の値をよく見ると」負荷比率=短期的負荷/ベースフィットネス」 という、この非常にシンプルな関係式が際立っていることに気づくでしょう。100%以上の数値は、短期的負荷がベースフィットネスよりも高いことを意味し、その逆も同様です。
トレーニング状況の分析
負荷比率は素晴らしい指標ですが、数値は必ずしも分析しやすいものではありません。
トレーニング状態は、その数値を以下の言葉に変換することで、現在のトレーニングの状態を客観視することができます。トレーニング状態に関する各用語は以下です。
- 過剰 ( >150%): 最近のトレーニング負荷が過剰になっている可能性があります。
- 良好(100~149%):トレーニング量の追加でベースフィットネスが向上できる状態です。
- 維持(80~99%): 直近のトレーニング負荷は中程度で、ベースフィットネスを維持しています。
- 再構築/パフォーマンス (50-79%):再構築の状態はトレーニング負荷が高めることでフィットネスが向上します。パフォーマンスの状態はトレーニング負荷を低くすることで疲労を抜くことができます。
- 練習不足 (0-49%):最近のトレーニング負荷が低いので、ベースフィットネスが低下しています。
補足
「再構築」と 「パフォーマンス」はどちらも強度傾向の範囲が50~79%であることにお気づきでしょうか。それまでのステータスが「維持」で、そこから負荷が減少した場合に「パフォーマンス」と表示されます。それまでのステータスが「練習不足」で、負荷が増加した場合に「再構築」と表示されます。
トレーニング状態のグラフの分析
トレーニング状態のグラフを確認してみましょう。 このグラフは、COROSのプラットフォーム全体で最も優れた洞察のいくつかを提供することができます。
ここでは、このグラフの分析方法を紹介します。 グラフには3本の線があり、青い線は短期的負荷。 緑の線はベースフィットネス。 最後に、オレンジ色の線は負荷比率です。
以下は、ベースフィットネスが上がる時、維持する時、下がる時のグラフの見方の例です。 アスリートはトレーニングの過程において3つのシナリオのいずれかに直面します。
補足
負荷比率がベースフィットネスを上回っているか、下回っているかを見ることが重要です。 上回っていれば成長段階に、下回っていれば回復傾向を示しています。
1.グラフの例 ①:フィットネスが上昇
この例では、短期的負荷がベースフィットネスより高く、負荷比率が100%を超えています(推奨範囲内)。
時間の経過とともにトレーニングの結果としてベースフィットネスが向上していく傾向にあります。これは、レースまでのトレーニング期間において理想的な状態です。
2.グラフの例 ②:フィットネスの維持
この例では、短期的負荷とベースフィットネスは非常に近くほとんど重なっていて負荷比率が100%近くになり、トレーニングの結果、ベースフィットネスが維持されます。
このような維持の期間は、オフシーズンやレース間の調整期間に良く見られる状態です。
3.グラフの例 ③:フィットネスが下降
この例では、短期的負荷がベースフィットネスより低く、負荷比率が100%を下回っています。時間の経過とともにトレーニングの結果としてベースフィットネスが低下していく傾向にあります。
フィットネスの数値が低下することは悪いことのように思えるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
実際には、回復と疲労の軽減を示しています。 これは、レース前の調整期間やレース後、またはオフシーズンの休養などの時によく見られます。