この機能(COROSウォッチの 「スタートに戻る」機能)がなければ、安全に下山することは不可能か、もしくは非常に困難だったことでしょう。- キリアン・ジョルネ


1963年、アルピニストのトム・ホーンバインとウィリー・アンソールドは、ウエストショルダー経由でのエベレスト登頂に挑戦した。それから60年が経ち、キリアン・ジョルネが彼らの足跡を辿ろうとしました。ヒマラヤ山脈への遠征経験が豊富なキリアンは、自らの限界に挑戦し、人間としての可能性を追求するためエベレストに出発しました。無酸素登頂でかつ、シェルパ(エベレスト南麓の現地人)のサポートを受けずにどのように登頂していくか、そしてコンディションが悪化した場合、いつキャンプに戻るかどうかの判断はキリアン自身が決めていました。以下が、キリアンが2023年に行った「NNormal エベレスト登頂」と、危険な状況下ながらも彼が安全に下山した実話です。

photo by Bertrand Delapierre


Kilian’s Route キリアンのルート詳細


COROS VERTIX 2に記録された今回のキリアンのルートは以下の通りです。キリアンは第2ベースキャンプから出発し、エベレストのホーンバイン(標高8,000m〜8,500m付近の岩溝)に挑む西側のルートを進みました。その登頂中には、風など危険な状況下において適切な移動方向を確保するのがやっとで、かなり時間を要しましたが、下山時はGPSの軌跡に沿うことで、比較的スムーズにベースキャンプにたどり着きました。標高8,000m付近を境に下山することとなったキリアンは、登頂開始から24時間10分02秒もの時間をかけてこの地点に到達しました。安全面を考慮して下山を決断し、VERTIX 2の「スタートに戻る」機能を活用することで下山は6時間49分41秒の時間で安全にベースキャンプに戻ることができたのです。



標高8,000m付近で雪崩に巻き込まれる

キリアンは、ホーンバインを登る途中で、雪庇(雪山の尾根の風下方向にできる雪の塊)の崩壊に巻き込まれてしまいました。

「ウィンドポケット(風食によって形成された雪面)を崩してしまった。それほど大きくなくて、10cmぐらいの深さだったが、50mほど滑り落ちてしまった。その時の体調は良くて、ルートの終わりが見えていたので登頂を続けるか下山するかで迷ったが、再びウィンドポケットに遭遇する可能性があるので下山することにしたんだ」

多くの登山家は山頂に近づくにつれて、登頂成功への興奮を抑えられないかもしれませんが、キリアンはまた別のチャンスで登頂すればいいことを悟っていたのです。

「気分が高揚していても、アクシデントが起きた時にとっさに下山を決めることに動揺せず、山ではこういうことがあるんだ、という自覚を経験できた」


雪で視界が5m圏内まで悪化

キリアンが下山する決断をした時、吹き付ける風雪によって視界が悪くなり、それまでの足跡が無くなってしまいまいました。視界が遮られて目印も無く、安全に進むことができない状況でキリアンは、COROS VERTIX 2の 「スタートに戻る」機能を使うことにしたのです。

「この機能がもし無かったら、エベレストの麓のロンブク氷河のどこかをさまよったり、クレバス(雪渓の割れ目)への滑落を避けるために、ルート選びが困難を極めて窮地に追い込まれていたことだろう」

大自然の中でアスリートが困難な状況に陥った時、COROSデバイスを含めた自分の装備品に頼る局面があります。今回の場合では「スタートに戻る」機能こそが、キリアンが唯一信頼できる道筋となったのです。


テクノロジーが追い風となる

世界最高の登山家であっても、エベレスト登頂時は常に生死の境目にいます。キリアンは豊富な経験値を持っていますが、現代のテクノロジーを利用することで、それが最も必要な時に追い風となることがあります。

「クレバスやコーニス(雪庇)があるかどうかの確認にピッケルを使った。そして、ルートを確認するために何度も回り込んで岩の特徴に沿うことが必要だった」

キリアンは自身の経験や勘に頼って下山することもできましたが、先進的なテクノロジーを通じてより安全に第2ベースキャンプまで戻ることを選びました。COROSは、このような熟練したアスリートたちが大会で好成績を収めることをサポートするだけではなく、彼らの命の安全性が最も必要とされる時に、このようなテクノロジーを利用する選択肢があることを光栄に思っています。


COROS GPSナビゲーション

photo by Bertrand Delapierre

エベレスト登頂への挑戦にしても新しい道へのハイキングであっても、大自然を目の前にして、そこで起こり得ることへの備えが重要です。COROSは、アスリートのパフォーマンス向上だけでなく、万が一の状況下でも安全に帰路につくことができる安心感を提供したいと考えています。そして、次の冒険に向かう時にCOROSデバイスがあなたをガイドし、安全な探検を最大限サポートします。

「スタートに戻る」機能の詳しい使用方法については、こちらの簡単なガイドをご参照ください。