スピードクライミングの師範:ハンス・フローリン

ハンス・フローリンのスピードクライミングへの貢献は、これまで彼が打ち立ててきた数々のクライミング記録だけにとどまりません。

彼は世界中のクライマーたちのメンターとしてインスピレーションを与えており、クライミングにおける効率性や準備、回復力の重要性を強調しています。

今月はハンス・フローリンの著書「スピードクライミング!より速くより上手に登る方法」の出版 20周年を迎えます。

COROSはハンスと一緒に、これまで数年間でクライミングがどのように変化してきたか、そして新しい技術がこのスポーツをどのように進歩させていくのかについて、彼の見解を聞きました。


Q.「ここ数年間でこのスポーツがどのように変化したと感じますか?」

A.「私が1983年にクライミングを始めた頃、『スポーツクライミング』はほんの始まりの段階でした。室内でのクライミングジムは全くありませんでした。

崖で他のクライマーに出会ったら、彼らは破れたデニムパンツやボロボロの服に髭面の人たち、女性クライマーは20人に1人ぐらい、という感じでした。

でも、2024年に人気の岩場に行ったら、高価なアウトドアギアを着た男女がいて光り輝く新車も見ましたし、明らかにクライミング人口が増えました。

私はこのような流れを好んでいますし、クライミングというスポーツは人々が都市部で遊ぶよりもはるかに良い活動だと思っています」


クライミングというスポーツは2020年以降、著しい発展を遂げています。2014年から2023年末までにアメリカの室内のクライミングジムの数はそれまでより76%増加しました(出典:《クライミング・ビジネス・ジャーナル》)。

この新しいアスリートたちの流入は、ある意味でこのスポーツを変えてより現代的なアプローチをもたらしました。それは、ハンスのようなクライマーにとっても同様です。


Q.「今の新たなテクノロジーはどのような役割を果たしていて、このスポーツの未来にどのうやって役立つと思いますか?」

A.「私は常に数字に敏感な人間で、自分のパフォーマンスを常に記録して、以前の自分よりも向上させたいと思ってきました。

だから、私にとって、今の新たなテクノロジーは、日記をつけたり記録をする手段ですし、これまでよりはるかに速くてより正確ですし、コミュニティとの共有も簡単です。

これは、私にとって重要なことで、私は友人やコミュニティに対して責任を持つことができます。そうやって私が他の人にインスピレーションを与えることもできますし、

彼らも私に刺激を受けることがあるかもしれません」


スピードクライミングのポイント

スピードクライミングの世界では、効率化こそがすべてです。垂直の岩肌を素早く登る能力は、肉体的な強さだけでなく、1つ1つの動作に対する戦略的なアプローチも必要とします。そして、この哲学を誰よりもよく体現しているのがハンスです。


Q.「効率的に登攀するためのポイントは何ですか?」

A.「常に新しいやり方を学ぶことに対して心を開くことで、私は常に考えています。私はチームが前進するために何ができるでしょうか。」


このスポーツは肉体的な要素と同じくらいに精神的な要素も重要です。良い精神状態を保つことが成功にとってとても重要です。

1つ1つの動作、1つ1つの手の動き、そして1つ1つの足をかける動作は、正確性と目的意識を持って行う必要があります。動作の効率化は消費エネルギーを減らし、リスクを最小限に抑えて登攀速度を最大化します。


Q.「あなたはどんなトレーニングで、より優れた効率的なクライマーになるように努めていますか?」

A.「たくさんのクライミングを行います。たくさんのクライミングで多くの距離を登って疲れ果てた時、各々が動作の効率的な方法を見つけ出せるようになります。

そして、それをただ『力任せに』やってはいけません。疲れる中にも最も効率的な動き方を見つける必要があります」


ハンス・フローリンの記録ずくめのクライミングとは、効率化と精神的なトレーニングの積み重ねの重要さを物語っています。

彼は最適なクライミングルートを見極め、起こりうる課題を予測し、疲労状態でもスムーズに移動できるのです。

この能力こそが彼のスキルのポイントです。ハンスにとって、スピードクライミングとは、速さだけを求めるのではなく、知的なクライミング技術、つまり1つ1つの動作の効率化も重要な要素となります。


1.パフォーマンスを高めるための技術活用

近年、技術の進歩により効率性の向上が顕著となっています。その革新の1つがCOROSデバイスの活用であり、ハンスはCOROSのテクノロジーを自身のクライミングのルーティーンに組み込んでいます。

アスリート向けに設計された COROS VERTIX 2S は精密なデータ記録・管理機能を提供し、クライマーたちが岩場でのパフォーマンスを客観的に把握することができています。


Q.「あなたの考えでは、クライミングのシーンにおいて、COROSデバイスやVERTIX 2Sを活用する最も良い方法は何ですか?」

A.「最善の活用方法は、5つの『M』を考えることです。つまり、測定(Measure)、モニタリング(Monitor)、管理(Manage)、モチベーション(Motivate)、変化の実現(Manifest change)です。自分の状態を記録するなら、目標に向けての進捗を管理してモニタリングすることができます」


2.COROSデバイスによるパフォーマンスの確認

ハンスにとって、COROSの技術は彼のクライミング技術を磨き上げるための非常に貴重なツールとなっています。

例えば、各ピッチでかかる時間を確認することで、ハンスのようなクライマーは自身のパフォーマンスを分析して課題を明確にし、クライミング技術の調整を行います。

このデータに基づくアプローチは、彼の効率性を高めるだけでなく、全てのクライマーにとっても価値のある情報として共有されるのです。

各ピッチで費やした時間を分析することで課題を明確にすることができる


ヨセミテ国立公園の「The Nose」ルートをクライミングした際のデータ


通常のクライミング中、ハンスの COROSウォッチと心拍モニターがデータを記録しています。クライマーにとってはピッチ時間、獲得標高、垂直GPS測位などの重要なデータ指標が、

ルートの各セクションの難易度を表し、エネルギー最適化のための貴重なデータなります。

そして、クライミング後にこのデータを分析することで、ハンスは常に自身のアプローチを磨き、さらなる効率化を目指すことができます。

10月のハンスの「ナイトクライムオブ ザノーズ」のクライミングデータ


COROSのテクノロジーを活用することで、ハンスは現代のツールがこのスポーツの可能性をどのように引き上げるのか、パフォーマンス分析によって技術向上のための模索を提供できるかについて話しています。

Q.「これからスピードクライミングを始めようと考えているクライマーに対して、他に何かアドバイスはありますか?」

A.「スムーズさこそがクライミングの速さに繋がります。慌てて急ぐと多くの場合はミスに繋がり、その修正にもっと時間がかかります。

どうやって素早く動作を行うかを考えて、緊張感を持ちつつも冷静さを保つ必要もあります。

経験豊富なクライマーと一緒にクライミングをすることで、技術を学ぶことができるでしょう」


スピードクライミングは、運動能力、戦略、技術が融合したスリリングなスポーツです。ハンス・フローリンのようなクライマーにとって、効率化こそが成功へのポイントであり、

驚異的なクライミング記録の樹立に繋がっています。このスポーツが進化し続ける中、COROSのウェアラブルデバイスのような革新的なツールの活用は、

パフォーマンスの可能性を引き上げ、重要な役割を果たすことでしょう。

ハンスの足跡を辿ることを目指す人々に向けての、彼のメッセージはとても明確です。賢く効率的にクライミングをするために、新しいデバイスやテクノロジーの活用を積極的に行うことが重要です。


COROSはクライマーのパフォーマンス向上のために、クライミングに役立つデバイスの販売を行っています。


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