エリウド・キプチョゲは、自制心・バランス・精神的な強さを持ってロングランをこなしています。彼の最新のトレーニングデータに基づき、あらゆるレベルのランナーが取り入れられる彼の5つの秘訣をご紹介します。
王者のロングランを紐解く
エリウド・キプチョゲは最近のトレーニングにおいて、高地のケニアで40kmのロングランを2時間13分58秒(平均3:21/km)、ピッチ181歩/分という効率的な数値で消化しました。これはレースではなく、自身を史上最高のマラソンランナーに育てた一貫性のあるトレーニングの一部です。
「全てのロングランは微妙に異なります。天候や走るルート、その日の目標が毎週変化するからです」と語るキプチョゲは、数十年にわたる規律と準備を背景に、一歩一歩を「心と身体を磨く機会」と捉えています。ペース配分からメンタルのコントロール、リカバリーに至るまでのアプローチは、飽くなき探究心と揺るぎない目的意識の結晶です。彼の「ランニングワールドを広げたい」という願いを後押しするような、ロングランを極める5つの秘訣をご紹介します。
1、バランスを取れたトレーニング計画を立てる
「バランスの取れたトレーニング計画とは、ジョグやロングラン・スピード・テンポ走に重点を置いています。しかし同時に、健康的な身体を維持するために必要な筋トレや体幹補強、ストレッチも欠かせません」と、キプチョゲは話します。
彼の成功は単なる走力ではなく、心身を総合的に強化する幅広いアプローチに基づいています。強靭な肉体が安定した走りを支えレースでのパフォーマンスを生み出しますが、スピード練習と回復のサイクルを計画的に組みながら筋トレも定期的に実施することで、パフォーマンス最大化のための体系的なトレーニングが構築できます。
ポイント:あらゆるレベルや競技種目に対応した無料の筋トレメニューをダウンロードして、COROSデバイスに転送することができます。
2、毎週のロングランを消化する
「本番のマラソンの3か月前からは毎週1回のロングランを行い、最後のロングランは本番の2週間前に行います」
ロングランはマラソン練習の肝となり、42.195kmを完走するための身体的なタフさと過酷なレース中の精神力を養います。トレーニング計画に必ず組み込み、週ごとに走行距離とペースを段階的に向上させることで、生理学的適応と心理的な準備を同時に促します。
3、身体を鍛えるように心も鍛える
「トレーニングが思い通りにいかないこともあるでしょう。でも、思うような成果が出なくても、その経験が後々に役立つことに気づきます。努力した事実は消えず、身体が課題に直面した時に心とともに乗り越える方法を学ぶプロセスそのものが成長に繋がります」
マラソンはメンタルの回復の繰返しです。不調な日は必然的に訪れますが、そういったことも時に能力開発の一環として受け入れましょう。逆境を乗り越えるという経験は、レース本番で困難に直面した時に、一つ一つ乗り越える過程で役立ち、前向きに捉えることができます。
4、スピードだけでなくビルドアップにフォーカスする
「私にとって成功したロングランとは、脚に余力を感じること、チームメイトとともにハードに追い込めること、呼吸やリズムに集中できることです。そして、走力を高めるために良い走行距離を積み重ねることが重要です」
キプチョゲが実践する特徴的な40kmのロングランは、序盤は控えめなペースで走り始め、終盤にかけてペースアップするというものです。ここから学ぶべきことは、目標ペースで走り続けるということよりも「力強くコントロールされた状態で目標の距離を完走すること」です。身体の声に耳を傾けながら感覚を基に走り、スピードよりも持久力の向上を優先しましょう。
ポイント:ビルドアップ走は、目標のレースペースに慣れるための有効な手段であり、同時にネガティブスプリットで走ることができます。
5、自制心を保つ:成功に近道なし
「人生もトレーニングも自己管理の能力が不可欠です。人生に近道は存在せず、全力で取り組むことが唯一の成功法です」
マラソントレーニングの成功は、日々の生活での成功と同様に「一貫性と覚悟」に深く関係しています。毎日の練習を欠かさず、モチベーションを保ち続けることが求められます。その成果は時間とともに現れますが、規則正しい生活や姿勢こそが進歩の基礎を形成します。
キプチョゲの教えをトレーニングに活かす
キプチョゲのやり方はシンプルかつ奥深いものです。効率的にトレーニングだけでなく、忍耐強く継続して一貫性のある日々を送りましょう。そして、マラソン練習に彼の5つの秘訣を活用することで、自身のパフォーマンスを向上させ、レース当日までのプロセスを楽しむことができます。
トレーニング計画を遂行するうえで、様々な挑戦を受け入れて「人間に限界はない」という想いを胸の内に秘めておきましょう。