ライド中はどのデータに注目すべきか?
バイクトレーニングでは、パワーや心拍数などのデータ活用が一般的ですが、この2つのデータ指標にはいくつかの違いがあります。
パワー:
- パワー(単位:ワット)は、ライド中に身体が生む総仕事量を反映しています。気象条件や疲労度などの要因には影響されないパフォーマンスの数値であり、絶対的な運動強度を示しています。
- パワーは、ユーザーの閾値パワー(FTP)に基づいて7つの強度ゾーンに分けられます。
心拍数:
- 心拍数(単位:bpm)は、心臓の鼓動の拍動数を反映しています。心拍数は生理的な指標であるため、疲労度や睡眠(リカバリー)、暑さや脱水(気象条件)などの外部要因に影響を受けることがあり、相対的な運動強度を示しています。調子の悪い日は140bpmの強度を保つことが難しいかもしれませんが、調子の良い日なら簡単にこなすことができるでしょう。
- 心拍数は、ユーザーの閾値心拍数に基づいて6つの強度ゾーンに分けられます。
COROSアプリでの閾値心拍ゾーンとサイクリングパワーゾーン
パワーと心拍数は、どちらもライド中の努力感の参考となりますが、以下のようにそれぞれに長所と短所があります。
強度タイプ | 定義 | 長所 | 短所 |
パワー(単位:ワット) | 運動中に身体が生む総仕事量 | 数値がリアルタイムで即座に反映される。 数値は気象条件や疲労度などの要因に影響を受けない。 練習の進捗とともにデータの比較が簡単。 | 計測のためにパワーメーターが必要。 データを集めるのに費用がかかる。 体調の微妙な変化や推移をモニタリングしにくい。 |
心拍数(単位:bpm) | 運動中の心臓の鼓動の拍動数 | 比較的簡単に計測することができる。 効率良く活用できる。 その日の体調を知るための良い指標となることが多い。 | 数値がデバイスに反映されるのに5秒程度の遅延がある。 体調によって日々微妙に変化していく。 パワーメーターを持っていない場合はパワーを測定することが難しいので、バイクトレーニングでは心拍数を活用すると良いでしょう。 COROSアプリのFTPグラフ 心拍数やパワーをトレーニング中に活用する場合は、それぞれの注意点があります。以下はライド中の心拍数とパワー活用時のヒントです。 |
パワーメーターを持っていない場合はパワーを測定することが難しいので、バイクトレーニングでは心拍数を活用すると良いでしょう。
COROSアプリのFTPグラフ
心拍数のデータ使用時の注意点
- 同じ努力感でも他のスポーツと比べて、一般的にサイクリングは心拍数が低くなる場合があります。これは、サクリングのフォームの重心が心臓に近く、血液運搬に必要な力が少ないためです。
- ペースアップなどの強度変化に伴う心拍数の数値変化には、遅延が発生する場合があります。サイクリングは脚部の運動がほとんどのため、心臓がより多くの血液を脚に送るまでには一定の遅れが生じ、この遅延は場合によっては2分間にもなることがあります。そのため、どんなインターバルトレーニングでも60~90秒かけてゆっくりと慣らしていくことが推奨されます。
- 心拍数はライド中のペダリングの速さと密接に関係しているので、ケイデンスの数値も重要です。60rpm未満の低いケイデンスでは、心拍数が強度に反映するのに時間がかかります。また、100rpm以上の高いケイデンスでは心拍数は通常より早く上がりますが、途中で効率が悪くなります。可能な限り安定かつ効率的なトレーニングができるよう、トレーニング中は80~90rpmのケイデンスを保つことを推奨されます。
ヒント:ライドに慣れてくると、ケイデンスを上げて心肺機能を高めることができます。世界最高のサイクリストの中には、100~105rpmの高いケイデンスで走行する人もいます。
パワーのデータ使用時の注意点
- パワーは、バイクでどれだけの仕事量をこなしているかの数値です。疲労度、水分補給、気温などの要因がパフォーマンスに影響する可能性はありますが、パワーの数値には反映されません。パワーのトラッキングででパフォーマンス低下が見られる場合は、心拍数も併せて確認するとパワーの数値に関係なく、身体が感じている努力感が確認できます。
- 心拍数の数値は努力感の変化に対して遅延する場合がありますが、パワーの数値は瞬時に変化します。初心者のサイクリストにとっては、この違いが混乱を招くこともあります。パワーの数値確認をスムーズに行うために、COROS DURAの設定で「3秒か10秒のパワー平均」にすると、適切なトレーニングゾーンの維持に役立ちます。
- 目標の数値やゾーンの範囲をしっかりと把握することが重要です。パワーを活用してのトレーニングの場合、特定の努力感をターゲットにすることができます。持久力、閾値、VO2max、スプリントなど、どのような目的でトレーニングを行うかを明確にしましょう。おもなワークアウトでは、これらのゾーンでどれぐらいの時間維持し続けるかの目標を設定して、より効果的な結果となるようにしましょう。
ヒント:パワーと心拍数のデータを併用することで、トレーニングをより包括的に理解することができます。パワーはリアルタイムの努力感を示し、心拍数は時間経過に伴う身体の反応を示します。この組み合わせを活用してトレーニング強度をより正確に調整できます。
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