ロードレース参加者の場合、どれぐらいのペースでレースのを走ればいいかの感覚を養うには多くの時間と経験が必要です。

目標タイムを掲げることは簡単ですが、レースがそのままのペースでうまくいくとは限りません。多くの人にとって、レース当日は臨機応変に対応する対応力が必要です。

COROSのコーチチームは、このようなロードレースへのトレーニングで、いつでも参照できる以下のツールを用意しています。


閾値ペースのガイド

閾値のペースは、自分のレースペースがどれぐらいかを判断するための素晴らしい指標です。

COROSの閾値ペースゾーンは6つのペースの範囲があり、トレーニング中に目的に応じて使い分けができます。

各強度の目的は、ペースゾーンについての記事で詳しく説明していますが、ここでは各強度の身体の反応についてまとめました:

ゾーン強度の感覚この強度での運動持続時間この強度で行われるレース
リカバリーリラックス無期限ウルトラマラソン
有酸素性持久力 イージー 3-6時間マラソン
有酸素性パワー維持が容易2-4時間ハーフマラソン
乳酸性作業閾値ハード30-60分10km
無酸素性持久力持続が困難10-30分5km
無酸素性パワー最大努力10分未満短距離種目
心拍ゾーンはどうでしょうか?
心拍数はレース中に確認する価値のある指標ですが、走行ペースという指標と比較した場合、目標ペースよりかは馴染みがないかもしれません。しかし、どちらの指標もトレーニング中に使用することで、より効果的にトレーニングを消化することができ、特定のスキル向上に役立ちます。詳しくは心拍ゾーンの記事をご参照ください。


COROS独自の乳酸閾値ペースゾーンのエース配分の戦略


このようなガイドでは、各レースの距離に応じて幅広いペース帯がありますが、それぞれの距離のレースごとのアドバイスは以下です。

ウルトラレース(50km以上)

ウルトラレースは距離の長さだけでなく、獲得標高や起伏のメリハリなど、複数の変数に大きく左右されるので、ペース配分が掴みにくい種目です。

エリート選手の中には、有酸素性持久力ゾーンのペースでレースを完走できる選手もいますが、基本的には大半のランナーがリカバリーペースのようなゆっくりとしたペースで完走するのが普通です。

距離ペースゾーン
50-80km有酸素性持久力(ゾーン内の遅めの速度)
100km未満リカバリー

マラソン

マラソンのエリートランナーは有酸素性パワーゾーンをレースで維持することができますが、大半のランナーは有酸素性持久力ゾーンでマラソンを走ります。低強度のゆっくりとした基礎づくりの積み重ねで有酸素能力のベースを作ることでマラソンに活きてきます。


完走時間ペースゾーン
5時間00分以上有酸素性持久力
4時間00分-5時間00分有酸素性持久力(ゾーン内の速めの速度)
3時間00分-4時間00分有酸素性パワー(ゾーン内の遅めの速度)
3時間00分以内有酸素性パワー(ゾーン内の速めの速度)
レース当日の走り方は?
レースの序盤は控えめなペースでゆっくりと走り始め、徐々に目標のペースに近づけていくことが重要です。序盤をオーバーペースで走ると、エネルギー消費が激しくなり理想の目標タイムで走り切ることが難しくなります。

ハーフマラソン

エリートランナーは乳酸閾値ゾーン(閾値付近)のペースを維持できますが、大半のランナーはハーフマラソンを有酸素性パワーゾーンで走ります。

低強度のゆっくりとした基礎づくりの積み重ねで有酸素能力のベースを作ることでハーフマラソンに活きてきます。


)完走時間ペースゾーン
2時間30分以上有酸素性パワー
2時間00分-2時間30分有酸素性パワー(ゾーン内の速めの速度
1時間30分-2時間00分乳酸閾値(ゾーン内の遅めの速度)
1時間30分以内乳酸閾値
レース当日の走り方は?
レースの序盤は控えめなペースで走り始め、徐々にペースを上げていくことが重要です。乳酸閾値ペースに近いペースを維持できるランナーもいますが、レースでは決してこのペースを超えないようにしましょう。

10km

この距離は、あなたの乳酸閾値ゾーンを非常によく表しています。 完走タイムによっては、乳酸閾値ゾーン付近(下か上)を彷徨うことになるかもしれないが、10kmで達成できることをよく反映するものとして、自分の閾値ペースにかなり近いレースを目指すべきです。 初めての10kmレースでは、トレーニング中に自分の閾値ペース付近を走り、この強度に慣れることをお勧めします。


完走時間ペースゾーン
1時間以上乳酸閾値(ゾーン内の遅めの速度)
40分-1時間以内乳酸閾値
40分以内乳酸閾値(ゾーン内の速めの速度)

5km

この距離のレースペースは乳酸閾値の強度よりも高く、大半のランナーは無酸素性持久力のゾーンで走ります。

目標タイムが30分よりも速い場合、現在の乳酸閾値のペースよりも速いペースで走っても問題ありません。

目標タイムが30分を超える場合は、5kmレースに出場する前に、トレーニング中に自分の閾値ペース付近を走って、この強度に慣れることがオススメです。


完走時間ペースゾーン
30分以上乳酸閾値(ゾーン内の速めの速度)
23分-30分無酸素性持久力(ゾーン内の遅めの速度)
23分以内無酸素性持久力


1マイル(1.609km)

中距離レースの速度はVO2maxの強度を超えますが、全力疾走というわけではなく、大半のランナーは無酸素性持久力ゾーンと無酸素性パワーゾーンの中間ほどのペースが該当します。

1マイルなどの中距離レースを初めて走る場合、まずは無酸素性持久力ゾーンで控えめにスタートし、その後はこのゾーンの速い速度域でこペースを上げていくのがオススメです。


完走時間ペースゾーン
9分以上無酸素性持久力
6分-9分無酸素性持久力(ゾーン内の速めの速度)
6分以内無酸素性持久力(ゾーン内の遅めの速度)

 

あなたの走行性能は「レギュラー」か「ディーゼル」か?

なぜレースでは最初から最後まで全力疾走することができないのでしょうか?

レース当日にフレッシュな状態で大会会場に着くと、2つのタンクにガソリンが満タンになっています:レギュラー(有酸素性能力)とディーゼル(無酸素性能力)です。レギュラータンクは大容量で多くのエネルギ容量こそ少ないもののパワフルです。

もし、全力でレースを走り始めると、ディーゼルタンクはあっというスカスカになってしまい、低速ギアしか使えない状態になってしまいます。


この例えに基づくと、乳酸閾値ペースというのは両方の燃料タンクの間の速度を意味しています。

乳酸閾値より速く走ることでディーゼルタンクを消費し、控えめに走ることでレギュラータンクを稼働させます。

レース中はこの両方のタンクがどれくらい最後まで持つか、そして片方のタンクが空になった時にどう対処するかを学ぶことが重要です。

それにはトレーニングでの経験とレースペースのペース戦略が必要です。

2024年パリ五輪マラ米国選考会に出場したCOROSアスリートのディズ・リンデン選手。


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